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2022.10.31
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女性の「生理」を男子校で教えたらどうなった? 「放課中に急いで交換」「蒸れやすく不快」 苦労を知った男子が見せた、驚きと優しさ

 9月1日、東京都にある男子校、本郷中学・高等学校で、女性の生理について学ぶセミナーが開かれた。主催したのは、女性用の下着や生理用品を扱う企業「BeA―Japan」。生徒はナプキンやタンポンなどを実際に手に取り、使い方を教わった。男子にとっては驚きの連続。生理中の不快さや災害時の不安などを知った男子生徒からは、これまで気付かなかった問題に対応しようとする優しさがみられた。(共同通信=河合晴香)

男性は生理用品を使わないのに…トイレにサニタリーボックス設置「なぜ?」


本郷中学・高校で開かれた生理を学ぶセミナー


 ▽生理用品に触れて実感

 セミナーに参加したのは、社会問題を研究する「社会部」の部員と、近隣の品川女子学院高等部の生徒など、合計約30人。「BeA―Japan」の高橋くみ代表が用意したナプキンやタンポンを手にした男子生徒は、目を見開いた。

 「えーっ、これを一日中付けなくちゃいけないの」

 高橋さんらはまず、男子生徒が生理を学ぶ意義をこう伝えた。「この先、社会に出たら女性と一緒に働くこともある。結婚して、将来女の子が生まれるかもしれない」

 自身の経験も交えながら生理の基礎知識を解説。「経血量は人によってさまざま。平均は1日に30~50ミリリットルで、多い人は90ミリリットルの人もいる」

 生徒たちは実際にナプキンに液体を垂らし、吸水量を確認。「50ミリでも結構多いな」「分厚くて夏は蒸れそう」と驚きの声がもれた。ナプキンの捨て方や交換頻度も教わった。

 高校2年の鈴木優之介さんは「生理は教科書の文字でしか知らなかった。きょう初めて身をもって知ることばかりだった」と満足した様子。驚いたのは、小学校の女子が、授業の合間の5分間でナプキンを替える必要があること。「そういう仕組みは見直すべきだと思う」と提案した。


タンポンを触る男子生徒 


▽「備蓄品がない」被災地の教訓

 生理の基礎知識を学んだ後、ディスカッションに入った。テーマは「災害時に家族が生理になってしまったら」。自宅の避難グッズの中に生理用品を入れておく、避難所では女性専用の休憩エリアを設けるなど、多様な意見が上がった。

 ある男子生徒は、ストレスは身体に悪いのでリラックスできる環境が必要、と前置きし「温かい紅茶を渡したらいいんじゃないかな」と発表。教室は拍手に包まれ、女子高生も思わず「かっこいい」と称賛。その後「それに加えて何かしてほしいことがあったら言ってね、の一言があれば頼りたいって思う」とアドバイスした。セミナーを依頼した社会部顧問の松尾弥生教諭は「みんな意外と優しいね」と笑顔を見せた。

 高橋さんは東日本大震災の際、生理用品が不足していた避難所の様子も紹介。当時は防災関連部署の担当者の多くが男性で、生理用品を自治体の備蓄として用意する必要があるという意識が薄かったという。

人口1万5千人だった福島県川俣町は、町によると災害時に延べ約4万9千人が押し寄せた。あらゆる物資が不足するなか、とある避難所で女性からの「生理になっちゃったんだけど…」という言葉を聞き、担当者は思わず「パニックになった」。

 職員が急いで役場や自宅に戻り、生理用品をかき集めた経験があり、現在では町の備蓄倉庫に生理用品をそろえている。高橋さんも今年4月、川俣町に自社の吸水ショーツを寄贈した。「生理に対し、男性もきちんと知識を持ってさえいれば、想像力を働かせることができるはず」


 ▽性差を知るのは誰のため?

 セミナーは、神奈川県藤沢市の共学校、湘南学園高校でも今年6月に実施されている。学校側が開催を依頼したきっかけは、男子生徒らの「自分に大切な人ができたときに、どうやっていたわってあげたらいいのか知りたい」という思いからだった。セミナーの後、自主的にナプキンを着用してみた男子生徒もいたという。


 生理を学び直す動きは大人にもある。生理用品メーカーのユニ・チャーム(東京)は2020年から企業や自治体を対象に「みんなの生理研修」を実施している。

 男性が多い地方議員事務所や消防署からも依頼があり、これまでに200以上の団体が参加した。参加者の立場も、研修中の新入社員から管理職まで幅広い。担当者は「男女平等に働く前提として、女性の身体、生理のことを知っておく必要がある」と話す。

 経済産業省は、欠勤など生理による労働損失が年間4911億円との試算を発表しており、高橋さんは「女性の健康を考えることは企業の責任でもある」と語る。

 女性向け体調管理アプリ「ルナルナ」を提供するエムティーアイ(東京)が昨年、10~40代の男性千人を対象に実施した調査では、生理など女性の健康課題について、7割以上が「解決すべき課題」と回答。女性の身体について男女問わず学ぶことは、約8割が「必要だと思う」と答えた。担当者は、女性を知ることで男性自身の働きやすさにもつながると指摘。「性差を理解していればコミュニケーションも取りやすくなる。互いを知ることは双方にメリットがある」と話した。

 
▽結局は「思いやり」

 セミナー終了後、男子生徒に感想を聞くと、多くの生徒が「女性は大変だと思った」とつぶやいた。ただ高橋さんは「女性だけが特別で、理解されるべきというわけではない」と語る。男性には男性特有の苦労や悩みがあり、それを全ての女性が理解しているとは限らない。大切なのは性差を理解した上で、どう相手に寄り添うかだという。「結局は思いやりをもってね、ということかな」。松尾教諭も話す。「生理痛だろうと、ただの腹痛だろうと、痛いと言うなら気遣うのが当たり前でしょう?そこに男女の違いは必要ないはず」